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勿論、図書館やインターネットでも調べてみた。
が、出て来るのは童話や戯曲、それもピーターパンの事ばかりでネバーランドに関する事は少なかった。
というか、ピーターパンが案内してくれる、とか書いてあったが……
「…そのピーターパンは何処よ」
これが問題なのだ。
やっぱり覚悟決めて本国イギリスに……
「沢城ー」
どうやってイギリスまで行くかな。とか考えてたらチャイムの音。それと同時に聞き慣れた声がした。
時刻を確認すると日付が変わる一分前。こんな時間に…とか思ったが、相手が相手だから気にしないでおく。
声の主は隣の席の杉下正樹。用件は昨日貸したノートだろう。確か貸した時に今日中に返せ、とは言ったが…何もこんなギリギリの時間に返しに来なくてもいいじゃないか。
そうだ、杉下ならネバーランドやピーターパンについて何か知ってるかな。
鍵をあけ、窓を開く。門の前にいた杉下と目が合った。…と思ったら杉下が視線逸らしやがった。失礼な奴だ。
それは置いて…
「杉下、ネバーランドについて何か知らない?」
「…その前にノート回収に来いよ」
ごもっとも。そもそも私が今日中に返せ、って言ったんだしね。でもね、私は今パジャマなの。幼なじみとか同性とかなら気にしないけど…さすがにクラスメートにパジャマ姿見られるのは遠慮したい。かといって着替えるのも面倒。
「着替えるの面倒。だから郵便受けに突っ込んどいて」
「出てこいよ」
杉下はそう言いながらも、きちんと郵便受けに入れてくれた。で、話を戻そう。
「杉下ー、ネバーランドってどこにあると思う?」
「は?ネバーランド?」
「うん、ネバーランド」
怪訝そうに聞き返してきた杉下に、そう返す。
「ディ●ニーランドだろ。確かアトラクションあった筈だ」
「…………」
違う杉下。あのネズミ王国は関係ない。
杉下は顔はいいのに、どこかぬけてる。基本的にノンビリした性格なせいか、はたまた遺伝的なものなのか…。
…まあいいか。兎に角、杉下はアテにならない事は分かった。引き止めるのも悪いし、この話題は終わろう。
何でもない。おやすみ。
そう言おうと窓から顔を覗かせようとしたら、いきなり何かが降ってきた。
「………へ…?」
何。今の。何が落ちてきたの。
恐る恐る窓から顔を覗かせる。そこに、血まみれの少年が転がっていた。
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