遭遇-或いは、運命-

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  何。何なのこれ。 てか誰?人ん家の屋根で少年と揉めた奴は。厄介事に巻き込まないでよ。ほら、杉下だって顔が思い切り引きつってんじゃん(混乱中) じゃない!とりあえず救急車を…あぁ、震えてて携帯上手く握れない! 「…お前、小夜と同じ匂いがする」 ビックリして声がした方を向くと、さっき落下してきたと思われる血まみれの少年が背後にいた。いやぁぁひょっとして私殺され……あれ? 「……小夜…?」 聞き間違いじゃなければ、さっき少年は私の祖母の名前を呟いた。 「そう、小夜。 お前も小夜を知ってるのか?」 小夜。その名前を知らない訳ない。ましてや、忘れる筈もない。 私に名前をくれた、誰よりも味方してくれた――私が誰よりも味方したかった優しい人。 「お祖母様の……私の祖母の名前と一緒だから…」 「ふうん…」 少年の目が細くなる。 月に反射する金髪。碧の瞳。ひょっとしたら…… 「ピーターパ…っきゃ…!?」 「小夜の事知ってるなら丁度いい。ティンク追うぞ」 彼はそう言うと、私を横抱きにした。所謂お姫様抱っこというやつだ。こんな超展開、ゲームでしか見た事ない。しかもお姫様抱っこ。これは乙女ゲームか? てか君、血!血は大丈夫なのか!? 「しっかり捕まってろ」 そう言うと、少年は窓に足を乗せた。 ……ちょっと待って。まさかまさかまさか…! 「行くぞ!」 そして窓に乗せてある足に体重を掛け、そのまま外に身を乗り出した。無論、私を抱えたまま。 「っ、きゃぁぁぁあああ!?」 彼がピーターパンなら落ちる事はない。 そう思っていても、怖いものは怖い。第一、私はまだ彼がピーターパンだと名乗ったのを聞いてないわけであって……下手したら落下して怪我してしまう。 が、私の心配は杞憂だったらしい。窓から飛び出た時、ふわりと宙に浮くのを感じた。 「何だ、お前。浮くの初めてか?」 まだ声が出せないので頷く事で返事する。 「そか。 まあ、いつかは経験するんだ。今終わらせといても問題ねぇだろ」 問題はないが…浮くなんて経験、普通はしねーよ。少なくとも地球にいる間は浮く、なんて体験は海やパラシュートが精々だ。 というか、何普通に抱えられてんのさ私。 「お前、名前は?」 いや、普通そっちから名乗るもんだろ。 ……まあ、どうせ名乗るんだから先でもいいか。  
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