4人が本棚に入れています
本棚に追加
何。何なのこれ。
てか誰?人ん家の屋根で少年と揉めた奴は。厄介事に巻き込まないでよ。ほら、杉下だって顔が思い切り引きつってんじゃん(混乱中)
じゃない!とりあえず救急車を…あぁ、震えてて携帯上手く握れない!
「…お前、小夜と同じ匂いがする」
ビックリして声がした方を向くと、さっき落下してきたと思われる血まみれの少年が背後にいた。いやぁぁひょっとして私殺され……あれ?
「……小夜…?」
聞き間違いじゃなければ、さっき少年は私の祖母の名前を呟いた。
「そう、小夜。
お前も小夜を知ってるのか?」
小夜。その名前を知らない訳ない。ましてや、忘れる筈もない。
私に名前をくれた、誰よりも味方してくれた――私が誰よりも味方したかった優しい人。
「お祖母様の……私の祖母の名前と一緒だから…」
「ふうん…」
少年の目が細くなる。
月に反射する金髪。碧の瞳。ひょっとしたら……
「ピーターパ…っきゃ…!?」
「小夜の事知ってるなら丁度いい。ティンク追うぞ」
彼はそう言うと、私を横抱きにした。所謂お姫様抱っこというやつだ。こんな超展開、ゲームでしか見た事ない。しかもお姫様抱っこ。これは乙女ゲームか?
てか君、血!血は大丈夫なのか!?
「しっかり捕まってろ」
そう言うと、少年は窓に足を乗せた。
……ちょっと待って。まさかまさかまさか…!
「行くぞ!」
そして窓に乗せてある足に体重を掛け、そのまま外に身を乗り出した。無論、私を抱えたまま。
「っ、きゃぁぁぁあああ!?」
彼がピーターパンなら落ちる事はない。
そう思っていても、怖いものは怖い。第一、私はまだ彼がピーターパンだと名乗ったのを聞いてないわけであって……下手したら落下して怪我してしまう。
が、私の心配は杞憂だったらしい。窓から飛び出た時、ふわりと宙に浮くのを感じた。
「何だ、お前。浮くの初めてか?」
まだ声が出せないので頷く事で返事する。
「そか。
まあ、いつかは経験するんだ。今終わらせといても問題ねぇだろ」
問題はないが…浮くなんて経験、普通はしねーよ。少なくとも地球にいる間は浮く、なんて体験は海やパラシュートが精々だ。
というか、何普通に抱えられてんのさ私。
「お前、名前は?」
いや、普通そっちから名乗るもんだろ。
……まあ、どうせ名乗るんだから先でもいいか。
最初のコメントを投稿しよう!