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「女の子に無理矢理迫るなんて何考えてんの!?
…というか、そんな事してる場合じゃないでしょ!」
いきなり現れた金色の彼女は、私とピーターパンの間に入るなり喚いた。
そしてピーターパンの頬を思い切り殴った。思いの外、痛そうないい音が響いた。
「貴女、この馬鹿に何もされなかった?大丈夫?」
そして私の方を向き、心配そうな顔を見せる。
きらきら光る長い金髪、碧の瞳。ピーターパンと色が一緒だ。というか…可愛い。
「大丈夫だよ。ありがとね」
「どう致しまして。
……あら、貴女、小夜と同じ匂いがするのね」
そういやピーターパンも匂いとか言ってたな。ちょっと疑問だったんだけど、匂いって何?というか、どんな匂いなの?
「…ティンク、今まで何処にいた?」
殴られた頬をさすりながら、ピーターパンが妖精さん…もといティンカーベルに問い掛けた。
「フックから逃げてたのよ。
そしたら貴方が見えたから近付いてみれば…この馬鹿っ!」
そう喚いてピーターパンの頬(さっき殴ったのとは逆の方)に拳を叩き込んでいた。
ピーターパン、ティンカーベル、そしてさっき出てきた、フック。
もうこれ童話の世界だよね。でも現実なんだよね。あんまり実感湧かないけど。
…あれ?
ティンカーベル、さっき「フック船長から逃げてた」とか言ってたよね。って事は近くにいるんじゃ……
「ねぇ、逃げなくて大丈夫なの?」
目の前で言い争っている二人に声を掛ける。すると言い争いはピタリと止まった。
「……そういや、逃げてたんだったな」
「喧嘩してる場合じゃないわね。早くここから……伏せて!」
ティンカーベルがそういうのとほぼ同時に、ピーターパンは私の頭を庇う様に包み込み、急降下した。
さっきまで私たちがいた空間を、何かが勢いよい過ぎていった。多分鉛玉とかそんな類の物だろう。物騒な。
「…ち、あの野郎、まだ諦めてないのか!」
「逃げるわよ!…って、この子どうするの?」
「気に入ったから持って帰る」
「「はぁ!?」」
何しれっと言ってくれちゃってんのよ!
「…悪いな。
お前を降ろしてる時間はなさそうだ」
確かに、まだ鉛玉らしき物はこっちに向かって飛んできてる。悠長にしてたら全員揃って穴だらけになりかねない。そんなのは嫌だ。
「ごめんなさい。
フックを撒いたらちゃんと帰すから…」
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