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何十万人いるのだろう。
7月の夜空を一斉に見上げている。
夜空に錦冠(ニシキカムロ)の黄金色の花が咲いた。
その光景を眼下に見ていた。
僕も、この花火が一番好きだった。
黄金色した火の粉が、名残惜しむように夜空に残っている。
でも、それもやがて消えた。
一気に輝き、華やかで、でもどこか悲しげ。そして輝きが消えてしまった後にも人々の心にいつまでも残る。
僕もそうでありたい。
あの、何十万人の中に、恵美はいたのだろうか。
同じ花火を見ていたのだろうか。
地元の海開きを告げる、7月の花火大会。
最後の花火を見納め、僕は彼女の事を思い出す。
この花火大会を楽しみにしていた、彼女の事を。
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