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「最後に打たれた彼、2年後にスゴイ選手に化けるよ」
「へえ。どうして分かるの?」
「……僕、人を見る目があるんだ」
僕は4回目の再現を行った。
この空間、このやりとりのすべてはif、もしもだ。
もし、僕と美紀が会わなかったはずの2022年7月13日に、僕と美紀が会っていたら。
それを今、再現している。
本当は他の日も再現したかった。
けれど、記録不足の元カノは未完成だった。
再現できるのは、彼女が死んだ2週間前の水曜日だけだ。
「へえ。営業じゃなくて人事やればいいのに。さっ、試合も観れたことだし、食器を洗わせて。見栄えが悪いの嫌なの」
「分かった」
ここまでは前回と、ほぼ一緒だった。
僕は慎重に、少しずつ、そして幻影の彼女にとって自然に〝今日〟を探索する。
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