4回目の2022年7月13日

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彼女の僕を帰そうとする理由が、毎回微妙に違う。 本質は〝僕に帰って欲しいから〟だろうか。 玄関に立つと、彼女は「夜、電話するね」と言った。 「あ、しまった!」 「どうしたの?」 僕は両手を見せて、ややオーバーな仕草を見せた。 「カバン、忘れた!」 「ああ、いいよ、あたし取ってくる」 彼女がリビングのドアへ消えた瞬間、僕は靴を再び脱いだ。 玄関とリビングの間には、2つの空間がある。 1つ目の空間は風呂場。 折りたたみ式のドアを開けると、石鹸の匂いがした。 カラフルなシャンプー、リンス、ボディーソープが並ぶ、何の変哲もない美紀の風呂場だった。 風呂桶の腹に、吸盤式の受け皿が取りつけられていた。 そこには1本のカミソリが置かれていた。 僕はそのカミソリを拾い上げ、目を凝らした。 赤茶色の……錆び?  元カノ……EX-Girlfriendはすべてを再現する。 妙だ。僕の使っているシェイバーは特殊な合金で、錆びないと書かれていた。 女の子用なら、なおさらデリケート……錆びの起きない素材で、できているんじゃないのか?  
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