5回目の2022年7月13日

2/4
前へ
/28ページ
次へ
「あ、打たれちゃったよ」 テレビの向こうの高校球児は、眩しそうに空を仰いでいた。 「なあ、女の子のカミソリも錆びるのか?」 外でセミがミンミンと鳴くなか、僕と美紀はソファーに座り、甲子園を観ている。 何の変哲もないカップルの日常で、些細な質問を彼女に投げた。 「え? どうしたの急に」 「いや、友達の話なんだけどさ。彼女のカミソリに、血のような錆があったんだって。それ以来、彼、血じゃないかって心配しちゃってさ」 「ああ、単に安いやつ使って、サビちゃったんじゃないの?」 「ああ、ね」なるほど。 呆気らかんと回答する本人に、僕は安堵した。 「たしかに、安そうなカミソリだった」 「えっ?」 「て、言ってた友達が」  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4895人が本棚に入れています
本棚に追加