5回目の2022年7月13日

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僕にとっては6度目の今日でも、この元カノで再現した彼女は、初めての7月13日。ifだ。 前回の失敗をリセットし、やり直せる。 恋愛シュミレーションゲームのようだけれど、僕の目的は美紀とのアバンチュールじゃない。 彼女の死因を探ること。 なのに、僕は今、彼女の膝枕でセミの合唱を聞いている。 何のことはない。「耳かきをしてくれ」って言ったんだ。 「どうしたの急に。今日の陽一くん、変だよ?」 戸惑いながらも、美紀はテーブルの箱からふわふわの耳掻きを出してくれた。 「ほら、おいで」と言って、折りたたんだ自身の膝をぽんぽんと叩く彼女の姿に、僕の涙腺が緩んだ。 ベランダから見えるのは真っ青な空に、うろこのような雲だった。 この安らぎ。 反面、彼女に感じる甘美な緊張感は、間違いなく小田美紀との時間だった。 彼女は短パンを履いていた。涙が膝まで届かないよう、鼻をこする仕草に必死だった。  
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