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「……美紀」
「なあに、陽一くん?」
「なんで、自殺したんだ?」
「えっ?」
僕はこの安らぎの時間を、ぶっ壊した。
優しい思い出を辿ることにすら、人は飽き、変化を求める。
それを僕は知った。
「死因は心臓麻痺? そんなの誰が信じる? 君が死ぬ2週間前の今日から、小田美紀は陽一くんに連絡を取らなくなった」
「どうしたの陽一くん? 変だよ?」
「分かるだろ? 〝元カノ〟だよ!」
この空間はEX-Girlfriendで作られた幻なんだ。
「え? え? 録画したやつでしょ?」
美紀は、録画を途中で放棄した。
結果、2000時間分の、未完成な美紀が生まれた。
「2022年7月13日の今日! 何が起きた!? 美紀、君は何をしたんだ!?」
当時の時点で、元カノの装置は存在していた。
この元カノの美紀に、事情を話しても理解する。
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