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「思い出を残そうと、結婚式にお披露目するために買ったこの装置で! 僕は今、君の死因を探ってるんだ!」
戸惑う彼女へ、ついに真実をぶち撒けた。
ドス黒い背徳感が、僕の腹から喉を犯して興奮を招いた。
美紀は何も言わないまま、自身の部屋を見回した。
彼女の視線が、玄関のほうで止まった。
「やっぱり、あの部屋か!」
「やめて!」
玄関の廊下には、バストイレとは別に、もう1つ部屋があった。
「陽一くん誕生日近いでしょ!? 実はプレゼントが置いてあるの! だからお願い! 開けないで!」
「前回は、遊びに来た弟が寝ていると言った」
「えっ?」
凍りつく美紀の顔を見るのは、これで何度目だろうか。
「その前は母親だ! よくもまあそんなにぽんぽんと嘘が思いつくな!」
未探索のそこに、何かある。
僕がそのドアを、開けようとした瞬間。
「う、あ」
背中に熱を感じた。
「み……き?」
「開けないで……何度、今日を繰り返しても、決して。お願い……陽一くん」
美紀の手には包丁が握られていた。
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