37回目の2022年7月13日

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「ごめんよ美紀。こうするしかないんだ」 僕は思いつく限りで、最も愛しい顔を浮かべ、彼女の頬にキスをした。 彼女は大きく見開いた目にたわわな雫を浮かべ、僕を見つめている。 部屋に入った瞬間、僕は彼女を縛り上げた。 元カノの意思に反する暴行や性行為、公序良俗に反する行いはEX-Girlfriendにおいてもできない。 この装置にはセキュリティが存在する。 そして〝人間が持てる物〟の範疇ならば、EX-Girlfriendに持ち込みは可能だった。 けれど再現中の〝元カノ〟に対し、持ち込んだ薬物やアルコール類の使用は出来ない。 さるぐつわをはめた彼女は、変貌した陽一くんに疑問と嘆きを抱いているだろう。 彼女の視界に映る陽一くんはSMの趣味があるわけでも、女性を暴行することに興奮するわけでもない。 愛しい人の死因を知りたい、ただそれだけだった。  
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