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「陽一くん、ごめんなさい、ごめんなさい!」
28℃のこの部屋で、彼女は泣きながら真実を打ち明けた。
「……あたし実は、あの機械で何回も大林一樹と会っていたの」
「ああ。仕方ないよ」
「彼が自殺した理由が知りたくて、陽一くんに内緒でずっと調べていたの!」
僕は精一杯、愛しい表情を浮かべ、彼女に微笑みかけた。
「けど、今日を一緒に過ごして、あたしの今の彼氏は陽一くんだって、改めて気づいた!」
麻痺した空腹感のなか、数千回目の平成34年7月13日で、僕は彼女の自白に成功した。
「あたしたち、まだ……間に合う?」
「ああ……」
彼女はすべてを認めた。
そして、元カレと会うことはもう辞めると、自ら決心した。
「まだ……間に合うよ」
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