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「あれ? 陽一くん、どうしたの急に?」
ドアを開けると、まず驚いた顔の彼女が出迎える。
無防備なタンクトップ姿で、ブラのラインがクッキリと分かる。
「営業先が近くだったから、直帰したんだ」
今日は水曜日、平日だ。
1回目は、「仕事をサボった」という理由にした。
そしたら怒られた上に、部屋へは入れてもらえなかった。
「そう、でもごめん。部屋散らかってるから……」
急に行っても、彼女は僕を部屋に入れたがらない。
それは2回目の時点で分かっていた。
「喉がカラカラなんだ。なんか飲ませてよ」
「あっ、ちょ、ちょっと」
半バ強引に入らないと、この部屋には入れない。
玄関を抜けると、洗面所と台所と経て、リビングへ繋がっている。
リビングはまったく散らかっていなかった。
けれど、洗濯物が干されていたんだ。
外は晴れなのに部屋干しをしている。
2回目のとき、それについてを尋ねると「このまえ、下着を盗まれたって言ったじゃない」と返された。
たしかに、2022年7月に美紀の下着は盗まれた。
「本当に、急とか困るんだけど」
美紀は冷蔵庫から冷たい麦茶を取り出した。
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