3回目の2022年7月13日

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今まで付き合ってきた元カレたちとも、予定を立ててからじゃないと会わなかった、と彼女は続けた。 1回目のときには「そんな、どこか壁のある付き合いの何が楽しい」と、皮肉を言って怒られたな。 エアコンの気温設定を見ると、28℃だった。 どうりで部屋の中も蒸し暑いわけだ。 「すぐ帰るから」 彼女から冷たいグラスを受け取り、それを飲む。 冷たい麦茶が、僕の喉を通っていく。これもEX-Girlfriendの影響だった。 2回目はここで美紀に、「ほら、それ飲んだらもう一件、頑張って来なよ」と言って部屋を追い出された。 「そうだ、甲子園観たかったんだ」 彼女が「ほら」と言うか言わないかの瞬間、僕はそう言って、テレビをつけた。 テレビから野球特有のアナウンスが流れ、ハチマキをした女の子の汗が映る。 この映像も2022年7月13日のもの。 装置がネットのデータから即座に読み込み再現した、当時の映像だ。 「陽一くん、甲子園なんか観てたっけ?」 ソファーに座る僕の背中に、立ったままの彼女の声が聞こえた。 「今年は、友達の母校が出ているんだ」  
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