3回目の2022年7月13日

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彼女が「そう……」と返すなか、僕はテレビを観るフリをして部屋を見回していた。   写真と手紙が貼られたコルクボード。 呼吸が苦しくなるほど、懐かしい景色。 間違いなく、彼女の部屋だった。 「座らないのか? 一緒に観よう」 「けど、洗濯物があるから……」 「これを観たらすぐに帰るから、な?」 美紀はしぶしぶと、僕の隣に座った。 目線はテレビに向けられているが、どこかヨソヨソしい。明らかに、落ち着きがない。 何かを隠している。 友達の母校は1点リードの九回、当時注目されていた球児が1死満塁のピンチを招くと、緊急救援した別の選手が2死満塁から代打に走者一掃の逆転三塁打を浴びた。 実は、野球にはまったく興味はない。それっぽいことを頭で反すうしただけだ。 結果、友達の母校はさらなる暴投で1点を失い、3-6の痛い敗戦を記した。 「最後に打たれた彼、2年後にスゴイ選手に化けるよ」 「へえ。どうして分かるの?」 去年の話だから、なんて言えやしない。 「……予感だよ」  
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