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「そう。試合も観れたことだし、そろそろ洗濯物を干させて。変なシワができちゃう」
美紀は立ち上がり、僕の前に置かれたグラスを取っ払った。
「分かった」
これが作られた虚像だとしても、無茶なことはしたくない。
何故なら、目の前にいる〝元カノ〟にも意志や思考がある。ように見えるからだ。
それに、無茶をすると装置の強制終了機能もある。
僕はカバンを持って、玄関に立った。
「それじゃあ」
「うん、夜電話するね」
僕がドアを開けた瞬間、周囲の景色が僕の部屋になった。
暗く、誰もいない、タバコ臭い室内だ。
3回目のEX-Girlfriendでの収穫は、およそ1時間、彼女の部屋にいれたことぐらいか。
「してくれよ、電話……」
美紀のいない自分の部屋で、僕はそう呟いた。
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