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「随分遅かったな
待ちわびたぞ八坂透」
偉そうな口調に一瞬思考が停止した
俺のベッドの上に口調とは正反対の可愛らしい女の子が足を組んで偉そうに座っていた
黒いさらさらとしたショートカットの髪は肩上で揺れている
青チェックのお洒落なスカートからは真っ白な細い足がスラリと伸びている
膝下でピッチリ止められている黒のハイソックスも
青いシャツに青いチェックリボンと全体的に青や紺で纏められたブレザーは着ている本人に良く似合っている
『えっと‥誰?』
こんな端正な顔をした知り合いはいないはずだ
困惑しつつもそう漏らすと人形のように形の良い口が開かれる
「誰だと思う?」
意味の分からない言葉に思わず眉間にシワが寄った。
『いや、誰だと思うって‥俺、君の事知らないし』
当たり前の事を返したはずだがその女の子は呆れたように溜め息をついた
「全くもって頭が固いなぁ八坂透」
『さっきもだけどなんで俺の名前‥‥』
俺の言葉を遮るようにビシリと此方に指を突き付けられる
「そんな小さな事はどうでも良いよ
これは一つの謎々だとでも思いなよ
僕の名前はなんだと思う?」
詰め寄るように追いこまれ後ずさると壁に背中がついた「さっさと答えなよ」
なんでこんな追い込まれるようにして聞かれているのかは一切分からないが深い蒼の瞳がじっと俺を見詰めていた
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