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『ところで君は誰なんだよ』
さっきっからずっと気になっていた事を口にすると哀れむような視線が返ってきた
「先ほど自分で名付けたじゃないか」
『は!??』
完全にパニックに陥っていると何かに気が付いたかのように手をポンと打った
「そうか
なんの説明もしていないじゃないか」
『‥‥?』
「僕は対祿用戦闘機PX-106号だ」
『???』
突然出てきた意味の分からない単語に俺は唖然とする
「祿と言うのは今から12年前に突如現れた未確認生物態だ
何もない虚から生まれ生命エネルギーや生活エネルギーと言ったものに反応しそれをエネルギー元として生きている」
『ちょっと待って!!
どうしたの君!?電波だったの?』
「祿は夜に出ることが多いが一般人には姿を確認する事さえ出来ない」
『無視かよ!!』
「しかしある一定の条件下でのみ見えるようになる
一つは致命的な傷を負った‥つまりは瀕死状態に陥った時
そしてもう一つは‥ご主人、腕を出してくれ」
『‥‥?』
無視もされた事だし大人しく聞いていると突然そう言われた
蒼は俺のワイシャツの袖をグッとまくり上げた
『何す‥‥ッ!?』
何も持っていなかったはずの蒼の手に小さなナイフのようなものが握られていた
蒼はそれで薄く俺の皮膚を切ると胸元から小さな小瓶のようなものを出した
『な‥‥っ』
小瓶の中に入ったドロリとした液体を俺の傷口に垂らすとみるみるうちに真っ黒な液体が傷口に消え
すべて消えた頃には傷口さえ消え失せていた
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