蒼と俺編

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『‥‥っ!!』 傷口が消えたのを確認したと同時に俺の体にドクリと何か大きな衝撃が起きる 身体中に熱が走り呼吸が苦しくなる ドサリと膝を着き激しい痛みを伴っている胸を強く握る 「始まったか」 さも当たり前のように苦しむ俺を見る蒼を見上げる 『‥‥っ‥何‥を、?』 やっとの思いで絞り出した声だったが蒼は淡々と続ける 「拒絶反応だ 一時的なもので時期に収まる」 『‥‥っ』 にしたって苦しい よくもコイツと蒼を睨むと揺れる視界の中で蒼の真っ黒い髪が一瞬真っ白に見えた 「なっ‥」 その事に驚いて声を出すと今度は感心したように倒れ込んだまま動けずにいる俺を覗き込むようにしゃがむ 『予定より二時間以上も早くシンクロしている どうだ僕の手は何色に見える』 俺の前に出された左手は真っ黒い肌に真っ青な爪をしていた 『‥‥‥っ!!』 驚いて息を飲むと満足げに目を細められた 「綺麗な瞳だな」 俺の目はなんの変哲もないはずだ しかし蒼はそう言って笑うとくしゃりと俺の髪を撫でた 「流石は僕のご主人だ」 その言葉と共に身体中の異変がフッと消え一気に体が軽くなった 『あ‥‥』 ムクリと起き上がるとまたもや蒼は驚いたように数回目をぱちくりさせると少し思案する 「いくらなんでも早すぎる‥‥ 1日はかかってもおかしくないが」 『‥‥?』 ぶつぶつと何かを呟くとまぁいいと顔をあげ俺を見た 「よく耐えたなご主人 まぁ口で言ってもよく分からないだろうから鏡でも見ると良い」 その言葉に訳もわからぬまま鏡を見て息を飲み込んだ
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