0人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は未だ抑えきれない怒りに
任せて瀕死のリーダー格に
更なる追撃を加えようと
した瞬間にその子は叫んだ。
「もぉやめてぇぇぇ!!
その人死んじゃうよぉぉ!!」
その子は涙を流していた。
俺はそれを見て即座に
怒りが消えてしまった。
「ごめん……
もうやめるから……
だから泣かないで……?」
俺はその子に誓った。
「…えぐっ…ほんとう…?」
その子は潤んだ瞳で
こちらを見つめている。
「嘘なんか言わないよ。」
俺はふと気が付くと
何故だかわからないが
その子を抱きしめていた。
「……!?」
その子は困惑した様子だった。
当たり前だろうな。
名前も知らない奴に
いきなり抱きしめられたら
誰だって困惑くらいする。
だがその子は予想外の
行動に出たのだった。
「……良かった……」
俺を抱きしめ返したのだ。
しばらくそのままだったが
俺は我にかえり直ぐさま
その子から離れた。
「…ごめん……」
俺は直ぐに謝った。
「ううん。気にしないで?」
初めてその子が笑った。
その笑顔は屈託がなく
まるで太陽の様に暖かい。
「そんな事より助けてくれて
ありがとうございます。」
「気にしないで?
俺の名前はジン・クリスト。
君の名前は何て言うの?」
「私はリオ・レミルト。」
「よろしくねリオ。」その子はリオと名乗った。
「こちらこそよろしくジン。」
リオはお行儀良くお辞儀した。
「そろそろ送って行くよ。」
「それは悪いよ……」
リオは申し訳なさそうに言う。
「大丈夫だよ。
ていうか送らせて?」
俺は彼女に手を差し出した。
「ジンは優しいね。
ありがとう。」
リオは俺の手を握った。
家まで送って行く途中
おもむろにリオが口を開いた。
「一つ聞いて良い?」
「ん?どうした?」
最初のコメントを投稿しよう!