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教室を出てミウちゃんのとこまで走ると、キュっと上履きが廊下を鳴らす。
「こらそこ、廊下を走るんじゃないっ」
生徒が走っていればこう、とお決まりの言葉で先生に注意されてしまった。
「怒られてやんの」
「…ミウちゃんが急かすから」
「ニノが遅いのっ」
謝りながら、廊下の窓の外を見つめる。
今日の天気は曇。
寒空の下、半袖の体操服を着用して体育を受けなくてはならない。
この高校の決まりです。
「外寒そー」
「うん…」
「半袖とかさぁ、中学まででしょ普通」
「うんー…」
校庭に集まりだしたクラスメイトを見下ろしながら、私は上の空でミウちゃんに相槌を打っていた。
ふと思う。
“幸せの席”と呼ばれる場所に座っていたわりに、サメジマくんは死んでしまったじゃないか、と。
「逆に、席決めのくじ引きで運を使い果たしちゃったのか…」
「ん?」
「サメジマくん。幸せの席に座ってたのに」
「あぁ…まぁ、ね。交通事故なんて、運悪かったんだよ。そもそも幸せの席ったって、クラスの誰かが言い始めたことだし」
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