1、消えた壇上のスポットライト

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そういえばサメジマくんにお花…飾らなくていいのかな。 そんなことを、サメジマくんが死んでから1ヶ月も経って気付く私は、ドラマに出てきた“少しの間でも花を挿した生徒達”より酷い人間なのかもしれない。 私は自然と記憶の中で、彼の姿を探していた。 よく、髪を黒に戻せと先生に言われてた。 耳にはピアス穴が空いていて、中に着ているシャツの色なんかも注意されてて。 教室でも廊下でも帰り道も、必ず数人の男子の真ん中にいた。 誰とでも分け隔てなく話す人で、明るく目立つ男の子。 交通事故にあったと朝のHRで知らされた時は、教室の空気が凍りついた。 やっぱり“幸せの席”なんて嘘っぱち。 私は途中で寝こけちゃって、最後まで先生の話を聞けてなかったりするけど。 …ごめんなさい、サメジマくん。 「ニノー、お風呂入りなさーい」 「…はーい」
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