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サメジマくんの言うとおり、私も宿題出来てないので、振り向いてたとしてもノート貸してあげられなかったんだけど。
“粕ニさん”
サメジマくんは、私のことをそう呼んでいました。
全く話たことのない男子でさえ、呼び捨てで呼んでくるのに。
「―…に」
そういえばあの時、サメジマくんの声だけは誰のものか分かった。
理由は考えなくても分かる。
毎日あれだけ男子と騒いでいたし、耳が勝手に、サメジマくんの声を聞き覚えてたんだ。
「粕ニ」
…誰?
「粕ニののか!」
カクンッ
机に肘を着いて乗せていた頭が、先生の声でズレ落ちた。
私は顔をあげる。
教壇に立つ先生の顔が怖い。
「粕ニぃ、お前はいつもいつも!」
「す、すみませっ」
「まだ朝のHRなんだが。寝るにしても早くないか?ん?」
「すみませんっ」
教室に沸く笑い声に、寝惚けた頭が覚醒します。
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