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「ニノ?どこ行くの」
「えと…トイレ」
「珍しい。ニノが私を誘わず1人で行くなんて」
「もう3年生になるんだもん…ミウちゃんと同じクラスになれるか分からないし」
「え。2年と3年はそのまま、クラス持ち上がりだよ?」
…知らなかった。
「本当について行かなくてい?」
「ん、大丈夫」
「なんか、大人になったね」
ミウちゃんは優しく微笑む。
まるでお母さんみたい。
「トイレに1人で行けるようになったら、大人なの?」
「ニノの場合は。ほら、昼休み終わっちゃう前に行っておいで」
「はい」
そういえば、最近お母さんとお父さんにも、優しく微笑まれたことがあった。
ニノ、どこか大人っぽくなったね。って。
…そうだね。
嘘をつけるようになってしまった。
ある意味大人になってるのかも。
トイレに行くと言って出てきておきながら、私の足は屋上に向かってる。
今は、1人で考えごとをしたかった。
いつもは上ることのない階段を上って、立ち入り禁止のプレートを見つけて立ち止まる。
頑丈に閉じられたその扉の前には、使われてない机やイスが重ねられていた。
近寄るな、って言ってる。
じゃあどこへ行こうか。
高い所から、空でも見上げたい気分なのに。
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