5、遊園地の巨大迷路に必ずゴールがあるように

9/14
前へ
/112ページ
次へ
保健室、と書かれた文字を見上げる。 空から遠のいてしまったけど、自然と足を運んでいる私がいた。 カラカラ 「…先生?」 いないの? 中の様子を伺いながら足を踏み入れると、鼻をくすぐる消毒液の匂い。 この匂い、ちょっと好きだったりする。 お昼休みだし、先生は職員室で昼食をとっているのかもしれない。 キシ 上履きを脱ぐと、ベットに片膝を乗せる。 私がこの間、寝かせてもらったベットだ。 頭が向くほうはすぐ壁で、調度いい高さに窓がある。 枕をどけて、そこに正座を崩した形で座ると、窓の桟に腕を置いた上に頭を乗せる。 グラウンドに出て昼休みを過ごす男子の声を、暫くボーッと聞いていました。 「……」 腕が痺れてくると、左右逆に組み替える。 今度はそこに、顎を乗せた。 そしたら窓の桟に埃が溜まっているのが見えて、フゥと何気なしに吹いてみると、舞った埃を吸い込んでむせてしまうんだった。 「ケンッ、ケン…ケホ」
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加