5、遊園地の巨大迷路に必ずゴールがあるように

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「私…最低だね…」 先生が彼の死を知らせる話の最中、寝ちゃってたんだ。 いや、でも…。 サメジマくんが居ないことに悲しいと思うくらいには、好き。 涙は出ないけど、泣きそうになるくらいには、 ポソ 「…すき」 ……。 ヘへヘ…、と空笑いする私。 「もう、恥ずかしいなー…」 あーあ。 「……」 誰かと誰かが交わって、誰かがデキテる世界の傍ら どこかで誰かが死んで、誰かが泣いてるんだ。 「なんで…死んじゃうの…」 窓の杉に乗せた両腕を枕に、いつの間にか眠りについていた私。 寝息をたてず、浅い眠りの中で見た夢は、最近はもう常連の、君が出るやつ。 『粕二さん』 『はい…』 『なんでニノって呼ばれてんの?』 『粕二…ののか』 『うん?』 『粕二の“に”と、ののかの“の”を合わせて、ニノ…らしい、です』 『ハハ、そういうことか』 眠ってる間も、サメジマくんのことを思い出してる…。 それから時計の長針が少し進んだ頃、保健室に帰って来た先生に起こされた私は、急かされながら教室に戻るんだった。
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