6、まぬけな彼女と間抜けた時間

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  数字の7が表す意味を、教室にいる誰もが知っています。 「うわ、最悪っ」 教卓のすぐ前にある、アンラッキーな席に座った子が叫ぶ。 クラスの顔ぶれは変わらずとも、新しい学年、新学期早々。 その席に着いたのは、友人のミウちゃんでした。 二度目です。 病んだ顔で後ろを振り返ったミウちゃんは、私を見つけるや否や目を見開く。 そして私も鉄砲玉を食らったハトのような目をして、今日から当分の間お世話になるこの席に座ってる。 「……」 7、なな。 何度見直しても、手元のくじにはそう書いてある。 教室のベランダ側、前から7番目の席は“幸せの席”と呼ばれています。 「いーなぁ、粕二さん」 「俺そこ狙ってたのにっ」 パチ、パチ 瞬きが止まりません。 …幸せの席だ。 黒板に貼られた座席表に未だ集うクラスメイトをよそに、私は机を見下ろした。 …え。 落書きを見つける。 机の角には、見たことのある相合い傘が書かれていた。 え。
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