らくがき【完結】

６、まぬけな彼女と間抜けた時間

え？

これを最初に見つけた時、勝手にフラれた気分になった自分のことを思い出す。

違う教室、机も違うはずなのに、サメジマくんの机にあったものと同じ落書き、相合い傘。

傘の中、左側にはサルの文字。

右側にはカカの文字。

何度見ても謎なんです。

サメジマくんは生前、サルと呼ばれていたのか。

…呼ばれていた覚えはないけど、私が聞いたことないだけなのかもしれないし。

そして、カカ。

…これは好きな人の名前なんだよね。

陸上部の加賀(ｶｶﾞ)さん？

茶道部の五十川(ｲｶｶﾞﾜ)さん？

…相変わらず分からない。

分からなすぎて、自然と笑みが溢れた。

「イスの高さが合わん奴は居ないかー？」

先生の言葉に視線を上げると、窓から見える景色を見つめる。

サメジマくんの見ていた景色。

サメジマくんが見渡していた教室。

景色は少し違うだろうけど、教室も全く違うけど。

…ヘヘ。