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「羨ましい。私と席替えしようか」
「嫌だよー」
「ん゛んん」
休み時間。
私の机の横でミウちゃんが唸る。
「ニノぉ」
「クスクス。何度言われてもダメなものは、」
「違う違う。ニノ」
「? はい」
「くじ引き、なんでずっと握ってるの?」
机の上に置いてある私の手を見下ろすミウちゃん。
「…これ?」
7と書かれたくじ引きを顔の横に並べると、私はまた笑みが零れる。
「ラッキーセブンって、このことを言うのかなー」
「ん?どゆこと?」
ミウちゃんが顔をしかめる。
私が窓の外に顔を向けると、首を傾げてしまうんだった。
伝えられないことを、悔やむ私はいるよ。
サメジマくんのこと、まだもう少しだけ、好きでいてもいいですか?
どんなにサメジマくんを想っても、涙は出なかったんだ。
だけど、忘れるなんてことも出来なくて。
今もふいに、思い出がみつかるんだよ。
それはホントに些細なことで、私にしか分からないようなことばかりだけど…。
自然と笑えるんだ。
サメジマくんの眩しいくらいの笑顔が、伝染したみたいに…―。
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