6、まぬけな彼女と間抜けた時間

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  翌日。 まだ慣れない教室、席に座って、私は黒板を見つめていた。 近頃、朝のHRで居眠りをすることはありません。 「今日は知らせることがいくつかあるから、ちゃんと聞いておけー」 教卓の上で日誌を開きながら先生が口を開くのと同時に、あれ?と斜め前の席の男の子が声を洩らす。 「先生、間宮がいませーん」 …ホントだ。お休みかな。 「ん、間宮なら…」 「どこ行ったんだあいつ。さっきまで居たのに」 あ、そうなんだ。 「まぁ、それは後で分かる。んじゃ、連絡事項言うぞー。1つ目…―」 1つ目。今日予定していた体育の集合場所は、運動場に変更。 意識して先生の話に耳を澄ませると、私はその言葉を心の中で繰り返し呟く。 こうでもしてないと寝てしまいそうなので。 「2つ目…―」 2つ目。一階にある男子トイレは当分使用禁止。詰まって工事中。 関係ないや…。 それから何点か連絡事項を伝えると、先生は開いていた日誌をパタンと閉じる。 …そろそろ終わるかな。 「最後に」 最後に。 「鮫島が居なくなって、4ヶ月が経った」 さめ……。
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