6、まぬけな彼女と間抜けた時間

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そ…か。もう、4ヶ月なんだ。 「んんっ」 教室に、先生の咳払いが響く。 クラスの皆は近くの人と顔を見合わせたり、机をジッと見つめていたり。 本当にこの席はみはらしがいい。 ギュ… 机の下にある手がスカートを握った。 自分の表情を確かめることは出来ないけど、きっと、無表情だと思う。 先生が動かす口を、ただ真っ直ぐ見据えていた。 今年は…進路も決めて、受験や就職試験があるよ。 お別れ遠足もあるらしいし、卒業アルバムに載せるクラス写真も撮るんだって。 サメジマくんが居るときに…撮りたかった、な。 「早いもんだな。けど、長かった気もする」 はい…。 「あいつだから余計だな。いつも賑やかだったから、欠けると気持ち悪いくらい静かで…」 分かってるよそんなこと。だから先生、そんな顔で話をしないで。 「……」 先生は急に黙って、窓の方に顔を向ける。 私もつられるように、首を回した。 窓の氷はすっかり溶けて、ここから見える校庭の木々達は、鮮やかな緑色の葉っぱをつけていました。
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