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「お」
先生はふいに、教室の戸のすりガラスに目をやると、入口に向かって歩いていく。
私はその様子を半開きの口のまま、目で追った。
ガラ
「…おかえり。入りなさい」
「…はい」
教室の外から、低い声が聞こえた。
間宮くんの姿が先に見えて、次に教室に入ってきたのは…―。
……。
私の開いた口が、塞がる。
教室内には一層、クラスメイトの歓声が沸き起こった。
そして、入口に立ったままの君は、
「俺、愛されてんね」
照れながら、笑った。
ガタタッ
「……」
気付いたら、その場に立ち尽くしていた私。
うそ…。
なんで。
本当に?
いろんな感情が込み上げてきて、両手で顔を覆った。
前より声が低くなった気がする君の
変わらない笑顔。
サメジマくんが…―
ポソ
「…てる」
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