1、消えた壇上のスポットライト

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キーン…コーン 授業の終わりを知らせるチャイムが鳴ると、一斉にイスを引くクラスメイト。 「ニノ、次体育だよ」 「あ、待ってミウちゃん」 ニノと呼ばれて机の下から顔を出したのは、私。 粕ニ(カスニ)ののかと申します。 机の奥を覗きながら、 「さっき授業中に書いたミウちゃん宛の手紙、どこやったかなぁ…」 なんて独り言を言う。 そうこうしている間に、教室には誰1人と居なくなった。 「早く行くよー?」 「はーい…」 見当たらない。から、後で探そう。 私は駆け足で教室を出ようとした、その時だった。 カシャンッ 後ろで何か、落ちる音が聞こえた。 「……?」 手を戸に添えたまま、私は首を回す。 開けられたままの窓から風が入って、白いカーテンが踊っていた。 キシ… 今どき珍しく、教室の床は組み木のフローリングなので、軋む音を耳にしながら音のしたほうに近付いていくと、誰かのシャーペンが落ちている。
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