7、らくがきに紛れた僕のキモチ

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    久々に見る校舎を、間宮の隣で見上げた。 「サンキュ」 送ってくれた母親に礼を言うと、クラクションを鳴らしながら車は去っていった。 足元のタンポポは、柔らかそうな綿毛をつけて出迎えてくれる。 「鮫島っ」 友人は少し前を歩きながら、こっちこっちと病み上がりを急かす。 「フ。知ってるって。学校に来るの、これが初めてじゃないんだし」 「ハハッ、それもそうか」 「相変わらずテンション高いなっ。最高学年になったんだから、ちょっとは落ち着きなよ」 「はいはーい。にしても、鮫島はよく進級できたな」 「俺頭いいもん」 「もん、じゃねーよっ」 「それに。ちゃんと進級テストは受けに来たし」 「まじ?知らせろよ」 「退院したばっかで、まだ絶対安静だったんだよ。間宮達に知らせたりなんかしたら、治ってないとこ弄られそうで」 「おー、よく知ってんじゃん」 「ハハ、やっぱり」
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