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「あのさあ?」
茶化されるのは好きじゃないから、俺は平常心を装いながら聞いてみる。
事故に遭う前、友人達が面白がって、俺の机にらくがきをしていた。
「冗談で書いたあのらくがき、消してくれた?」
「ハッ。冗談じゃねーじゃん」
「……。けど、いくらバレないように書くったって、あのネーミングはないわ」
「バレないように書いたから、あぁなったんだろー?だから大丈夫だって。それに、あの子がらくがきに気付いてるとも限らないし」
「やっぱ消してねーのかっ」
おうっ、と間宮に元気に頷かれてしまう。
「いいじゃん?」
「いや…でも、恥ずかしいっしょ」
「っそ?でも、もう書いちゃったもんは仕方ない」
「ん…まぁもう教室も変わったしね」
「うん?うん。もう書いちゃったから、仕方ないよな」
……?
同じ言葉を繰り返した間宮に、どういう意味?と視線を送る俺。
「朝早く起きるの、大変だったんだからなぁ」
「……なんで、早く起きる必要があったの」
「早く登校しないと、書いてる所見つかっちゃうじゃん」
ん?
「まさかだとは思うけど…」
「ちゃんと、今の教室の幸せの席にも、らくがきっといたからっ」
「いやいやっ。俺またあの席なの?」
「んあ?そう何度もなれると思うなよう!」
…じゃあ、なんでわざわざ書いたのさ。
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