7、らくがきに紛れた僕のキモチ

6/19
前へ
/112ページ
次へ
「あのさあ?」 茶化されるのは好きじゃないから、俺は平常心を装いながら聞いてみる。 事故に遭う前、友人達が面白がって、俺の机にらくがきをしていた。 「冗談で書いたあのらくがき、消してくれた?」 「ハッ。冗談じゃねーじゃん」 「……。けど、いくらバレないように書くったって、あのネーミングはないわ」 「バレないように書いたから、あぁなったんだろー?だから大丈夫だって。それに、あの子がらくがきに気付いてるとも限らないし」 「やっぱ消してねーのかっ」 おうっ、と間宮に元気に頷かれてしまう。 「いいじゃん?」 「いや…でも、恥ずかしいっしょ」 「っそ?でも、もう書いちゃったもんは仕方ない」 「ん…まぁもう教室も変わったしね」 「うん?うん。もう書いちゃったから、仕方ないよな」 ……? 同じ言葉を繰り返した間宮に、どういう意味?と視線を送る俺。 「朝早く起きるの、大変だったんだからなぁ」 「……なんで、早く起きる必要があったの」 「早く登校しないと、書いてる所見つかっちゃうじゃん」 ん? 「まさかだとは思うけど…」 「ちゃんと、今の教室の幸せの席にも、らくがきっといたからっ」 「いやいやっ。俺またあの席なの?」 「んあ?そう何度もなれると思うなよう!」 …じゃあ、なんでわざわざ書いたのさ。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

452人が本棚に入れています
本棚に追加