7、らくがきに紛れた僕のキモチ

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「今の教室になってからは、誰があの席に座ってんの?」 「さーね。見てのお楽しみ」 「……」 「さ、新しい教室は3階にあるから。もうちょい頑張って」 「…あぁ。どおりで息が上がるワケだ」 「いや、それは久々に階段上るからっしょ」 これでもリハビリしてるんだけどな。 進級して最高学年になったはいいけど、なんで階も上がるんだろう。 小中学生の時は、下級生のが上だったのに。 …しんど。 「お疲れ」 「ハー…」 階段を上りきると、完全に息があがっていた。 久しぶりの学校の廊下は、病院と違って手すりが無い。 「手ぇ貸す?」 「や、大丈夫。これもリハビリっしょ」 間宮に礼を言いながら、亀も抜き去るほどの速さで歩いていると、他のクラスの知り合いがこっちに手を振っているのが教室の窓から見える。 “HR中だろ” と、声に出さないでわざと大きく口を開けながら言うと、満面の笑みが返ってきた。 「あいつ。先月煙草買ってる所見つかって、停学2日くらってたんだよ」 「うわ…だから辞めろっつったのに」 「鮫島、何人か辞めさせたもんなっ」 「親戚皆吸ってて。今まで3人、肺がんで死んでるから」 「お陰で俺も、早死にしなくて済むワケだっ」 煙草なんて、上がる煙草税に泣いて、周りに煙たがられるだけだっての。
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