7、らくがきに紛れた僕のキモチ

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ワッと沸き起こる、クラスメイトの声。 「まじかよっ」 「おっせーよあいつ!」 立ち上がって、見えるようになった目の前のすりガラスに、 「お」 近付いてくる影が見えた。 ガラ 俺より背の低い先生が、見上げてくる。 こんなにシワのある人だったっけ。 「…おかえり」 口を開けば注意ばかりして、あんまり好きじゃなかった先生の顔も、今は懐かしく思えた。 また会えたことに、俺は感動しちゃってたり…する? 「入りなさい」 「…はい」 間宮に腕を引かれながら、俺は見慣れない教室に足を踏み入れた。 HR中だっていうのに、席を立っている友人。 あまり関わりの無かったクラスメイトまで笑ってくれている、そんな教室の様子に、胸が熱くなった。 ベッドの上で考え、用意しておいた言葉は忘れてしまい。 次の瞬間口から溢れた言葉は…―。 「俺、愛されてんね」 そう照れながら言った俺に、 「分かりにくい冗談はいいからっ」 と、隣にいる間宮が、懐かしいツッコミで返してくれるんだった。
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