7、らくがきに紛れた僕のキモチ

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「変わってねーなっ」 と、頭を小突いてくるのは安藤。 酷い事故現場を目撃させてしまって、申し訳なく思ってる。 「傷っ。まだ傷あっからっ」 「わ、悪い。大丈夫か?」 あれ?こいつ、こうやって気遣える奴だったっけ。 …そっか。もう高3になったんだもんな。 びっくりした顔で謝ってくる安藤に、 「うそだよ」 と嘘をついた。 「ハハハ」 「…こんにゃろっ」 ゴンッ 「っつ…いってぇっ」 あーんーどーうー。 鈍い音を立てた頭を撫でながら、俺がふと、教室内に視線を向けた時。 あ…。 教卓の前の席に座って、ジッと見てくる女子と目が合った。 それに気付いたのか間宮は、 「ね?ミウちゃん残念っしょ」 と、哀れんだ顔で言ってくる。 ミウ、ちゃんっ? 鈴原に目を向けなおすと、驚いた顔をしながら息を吸い込んだのが分かる。 「“ミウちゃん”!?」 …そうなるよね。 俺の周りはよく仲間内で話すとき、面白がってそう呼んでいた。 だからなのか、それとも馬鹿だからなのか、間宮の口からポロリと出た言葉。 驚くのも無理ない。 鈴原は、俺達の会話によく名前が出てくる人だけど、しょっちゅう話すような仲ではなかったし。 「間宮くん、私のことは呼び捨てでいいって言ったよね」 え?
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