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「…てる」
え?
いつのまにか静かになった教室に、誰かが呟いた。
「間宮…なんか言った?」
「んや?俺は、何も…」
確かに何か聞こえたと、もう一度粕二さんに目を向けると、粕二さんの傍らに鈴原が立っている。
心配そうに、粕二さんの顔を覗き込んでる。
「ニノ、どうした?」
「い…て…」
顔を手で覆っているせいか、粕二さんの声がこもって聞こえる。
けど、確かに何か言ってる。
「泣いてるの?」
鈴原が静かに問いかけた。
泣いてる、って…―。
「生きてる」
……。
「っ…生きてる」
何度も聞こえる、粕二さんの言葉。
周りが瞬きを繰り返す中、俺はそれを忘れた。
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