この時代の現実

10/13
237人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
「…ねぇ、聞いてもいい?」 「なんだ」 沈黙が嫌になり、美咲から話しかける。 土方は美咲を見る。 その目は、何かを語っていた。 分かってるよ。 あのことは聞くなって言いたいんでしょ。 でも、約束破ったんだから、聞くよ。 「…なんで、芹沢さんを殺したの?」 美咲の問いかけに、土方は美咲を見たまま答える。 「誰かから聞かなかったのか 芹沢先生を殺したのは長州の輩だ、いずれ仇を取らなくてはならない」 「殺さなきゃならないほど、芹沢さんは悪いことしたの?」 土方の目を真っ直ぐ見る。 土方の目は少し怖かったが、ここで引き下がるほど美咲は素直な人間ではない。 数秒間、見つめ合う。 「…何故飲み屋の段階で、俺たちが芹沢を殺すと分かった」 ついに土方が折れ、逆に質問を投げかけた。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!