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「芹沢先生はもうお帰りになるんだ、先生を煩わせるな
お前の用件は後にしろ」
土方の冷たい目が、美咲を睨む。
三度殺気を感じたが、美咲は止まらない。
「へぇ…言ったね?」
「…何?」
にっと笑う美咲。
「後でなら、絶対にお話しさせてくれるんだね?」
「ああ、思う存分させてやる
分かったらとっとと部屋に戻れ」
「…もう言ったからね」
「?」
美咲は土方ではなく、芹沢を見た。
「先生、明日、一緒にお茶しましょう」
「ああ、構わない」
「絶対ですからね!
言いましたよ!」
「な、何をそんな必死に…」
少し引き気味の芹沢に、それでも構わずぶつけた。
「約束だから!」
真剣な目で、芹沢を見つめる。
さっきまでの演技は、一切ない。
「…お前は本当に変わった女だな
ああ分かった、約束しよう」
「絶対?」
「絶対だ」
初めて、芹沢は笑った。
どこにでもいる、普通の男性の笑顔で。
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