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葬式の片付けが終わった、夕方。
美咲は庭の掃除をしていたが、心ここにあらずという感じで、掃除がはかどらないでいた。
ついにはやる気がなくなり、屯所の塀に寄りかかって、夕日をぼーっと見つめる。
センチメンタルみたいな感じで嫌だなとは思ったが、何を考えるでもなく、ただひたすらそうしていた。
「まだ掃除していたのか
そろそろ夕餉を作る時間なんじゃないのか?」
何か特別なことがないと話しかけてこない土方が、わざわざ廊下から話しかけてきた。
草履を履いて、美咲の元まで近づいてくる。
土方は美咲の隣に寄りかかると、同じく美咲がそうしていたように、夕日を見た。
こんなタイミングで話しかけてくるなんて。
怪しんでくれとでも言ってるの?
しかし、土方は自分から話しかけた割に、それ以降話しかけてない。
この男の不気味さは、日に日に増していく。
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