238人が本棚に入れています
本棚に追加
用があれば自分から話に行くし、誘われたら一緒に飲みに行くこともあるらしい。
しかし、こと美咲になると、徹底的に避けられる…気がする。
新選組に四ヶ月もいて、話したのが幕末に美咲が現れたときに、お前の服装はなんなんだ、という会話ともいえないものだけ。
最初は廊下ですれ違ったときに挨拶をしてみたが、一度も返されたことがなく、一切しなくなった。
美咲としては、面白くないことだ。
どうせ未来に戻るまでの間はここにいるのだから、せっかくなら仲良くなっておきたいのに。
しかしこの男は、朝食をさっさと済ませると、近くの者と談話を楽しむでもなく、広間を出て行ってしまった。
いつもなら見送るが、今日は意気込みが違う。
「ねぇ、ちょっと!」
今日こそは、何でもいいから会話をしたい。
広間から出て行った斎藤の背中を、慌てて追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!