苦手なもの

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しかし、そんな苦労も、日が暮れてきたからもうすぐ終わる。 一日だけ逃げ切れれば、すぐに飽きるだろう。 そう、あと少し…。 「…もう! 斎藤さん、どこー!?」 「!?」 廊下の遙か先から、確かにあの女の声が聞こえた。 慌てて近くにあった自室へ逃げ込む。 まさか…この距離でバレたか? いや、そんなことはない…あの女はきっと闇雲に叫んだだけだ。 それにすぐに部屋に入ったし、たとえあの女の視界内にいたとしても、この部屋だと当てられるはずがない。 そうだ、大丈夫だ。 大丈… 「見ぃつけたっ!!」 「!!?」 すぱん、と障子が豪快に開き、ばっと振り向くと、勝ち誇った顔の女がいた。 その勝ち誇った顔のまま、女は俺の了承も得ず、ずかずかと部屋へ入ってきた。 「さぁ捕まえた もう逃げ場はないからね?」 「………」 この女は、閻魔か何かだ。
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