238人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、そんな苦労も、日が暮れてきたからもうすぐ終わる。
一日だけ逃げ切れれば、すぐに飽きるだろう。
そう、あと少し…。
「…もう!
斎藤さん、どこー!?」
「!?」
廊下の遙か先から、確かにあの女の声が聞こえた。
慌てて近くにあった自室へ逃げ込む。
まさか…この距離でバレたか?
いや、そんなことはない…あの女はきっと闇雲に叫んだだけだ。
それにすぐに部屋に入ったし、たとえあの女の視界内にいたとしても、この部屋だと当てられるはずがない。
そうだ、大丈夫だ。
大丈…
「見ぃつけたっ!!」
「!!?」
すぱん、と障子が豪快に開き、ばっと振り向くと、勝ち誇った顔の女がいた。
その勝ち誇った顔のまま、女は俺の了承も得ず、ずかずかと部屋へ入ってきた。
「さぁ捕まえた
もう逃げ場はないからね?」
「………」
この女は、閻魔か何かだ。
最初のコメントを投稿しよう!