苦手なもの

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「ねぇ、なんで私のこと避けるの? 私…何かした?私のこと嫌い?」 ずいずいと、しかし少し不安そうに女は迫ってくる。 きっとこの女は、真剣に悩んでいるのだろう。 胸が痛まないでもないが、この女には関係ないないことだ。 「…そうではない、と言ったはずだ」 「じゃあなんで避けるの? なおさら分からないよ」 「……それは…」 ちらり、と女を見ると、じっと俺を見つめている。 すぐに顔を反らす。 …仕方がない、か。 「…いいか、絶対に引くな、笑うな」 「え?」 「いいな」 「あ…うん」 絶対に女に顔を見せないように。 「俺は…女が苦手なんだ」 「……………へ?」 言った後に、激しく後悔した。 聞いたか、今の女のとぼけた声。 完全に引かれたぞ。 だから女は苦手なんだ。 正直に話すと、意気地なしだと引かれるから。
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