第1章 隣の空席

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昼休みの屋上。いつもだったら今頃お弁当を食べているのに。 今日はいつもの屋上と違った。 「好きです!!よかったら俺と付き合って下さい!!」 …誰、この人? いきなり知らない人に告白されても「はい、いいですよ」とは言えないし。 というか名前すら知らないし。 「…名前は??」 「あっ、言ってなかったけ?俺2組の萩野雄也って言うんだけどー知らない?真由香ちゃん3組だよね?」 「…知らない」 隣のクラスだったんだ。しかも何で私の名前知ってるの? 「何で私なの?」 「えっと俺さぁ、前廊下ですれ違った時真由香ちゃん見て一目惚れしたんだよね。あっ、でも付き合ってる人とか好きな人がいるんだったら迷惑だよね?ごめんね。」 そう言いながら照れている目の前の人は悪い人っはなさそうだけど… 私の答えは決まっていた。 「ごめんなさい、付き合えないです。」 そう言うと彼は肩をすくめながら「そうだよね。いきなり知らない人にこんなこと言われても困るよね。ごめん。」って申し訳なさそうに謝った。 何か悪い事でもした気分だな。あっ、悪い事してるのか。これ。 そんなことを考えてる内に昼休みの終わりを知らせるチャイムが聞こえた。 もうそんな時間なんだ。 「じゃあ、私行くね。」 手の平を握りしめて私は彼に背を向けた。
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