働く兄<1>

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♪♪~ 携帯電話のアラームとバイブの音で目を覚ます。 まだ意識がはっきりとしない中、アラームを止めて表示された時刻を見る。 「(…もう朝か……。)」 窓の無い寝室は暗かったが、ドアの隙間から光がうっすらと差し込んでいた。 ベッドから降りて部屋のドアを開けると、眩しい朝日に思わず目がくらんだ。 同時に聞こえてきた軽快なリズムの包丁の音と炊いたご飯の香り。 その音と香りの方、リビングに出ると、キッチンで紗夜がいつものように朝食を作っていた。 「あっ、おはよう」 起きてきた俺に気付いた紗夜が包丁を止めた。 「おはよ。 今朝は何作ってんだ?」 「今朝はねぇ、焼き鮭と卵焼きと大根の味噌汁だよ。 あと、昨日の野菜炒めが少し残ってるから」 「味噌汁、ネギも頼むわ」 「ふふっ、わかってますよー」 笑顔を交わして顔を洗いに行った。
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