働く兄<1>

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着替えてリビングに戻ると、エプロンを外した紗夜がすでに学校の制服に着替えていた。 「あれ? 今日は土曜日だろ、学校行くのか?」 「もう、この前言ったじゃない。今日は修学旅行の説明会があるって」 あぁそう言えば、と思い出し、朝食の置かれたテーブルの席に着く。 そしていつものように二人で『いただきます』を言い食事を口に運ぶ。 やっぱりネギの入った味噌汁は旨い。 「修学旅行って…確か10月の末頃だったよな?」 「うん、沖縄行くの初めてだから今から楽しみだよ。 この辺りの海よりももっと青く透き通ってて…すっごく綺麗なんだって!」 目を輝かせて語る紗夜。 自然と笑みがこぼれる食卓で食べる料理は、格段に旨い。 それでなくても、紗夜が作る料理は何でも旨かった。 二人だけで住むようになってからはほとんど毎食作るようになり、その料理の腕は確かなもんだ。 先に食事を終えた紗夜はもらってきた薬を飲み、急いで身仕度をする。 「説明会は午前中に終わるみたいだから」 「わかった。 あ、一応傘持ってけよー」 「うん、お兄ちゃんも気を付けてね! じゃ、行ってきまーす!」 ローファーの軽やかな音を鳴らしながら玄関を出ていった。 「さてと……」 妹を見送った俺も朝食の後片付けを済ませて身仕度をする。 部屋を出て、バイクでマンションを後にした。
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