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着替えてリビングに戻ると、エプロンを外した紗夜がすでに学校の制服に着替えていた。
「あれ? 今日は土曜日だろ、学校行くのか?」
「もう、この前言ったじゃない。今日は修学旅行の説明会があるって」
あぁそう言えば、と思い出し、朝食の置かれたテーブルの席に着く。
そしていつものように二人で『いただきます』を言い食事を口に運ぶ。
やっぱりネギの入った味噌汁は旨い。
「修学旅行って…確か10月の末頃だったよな?」
「うん、沖縄行くの初めてだから今から楽しみだよ。
この辺りの海よりももっと青く透き通ってて…すっごく綺麗なんだって!」
目を輝かせて語る紗夜。
自然と笑みがこぼれる食卓で食べる料理は、格段に旨い。
それでなくても、紗夜が作る料理は何でも旨かった。
二人だけで住むようになってからはほとんど毎食作るようになり、その料理の腕は確かなもんだ。
先に食事を終えた紗夜はもらってきた薬を飲み、急いで身仕度をする。
「説明会は午前中に終わるみたいだから」
「わかった。 あ、一応傘持ってけよー」
「うん、お兄ちゃんも気を付けてね! じゃ、行ってきまーす!」
ローファーの軽やかな音を鳴らしながら玄関を出ていった。
「さてと……」
妹を見送った俺も朝食の後片付けを済ませて身仕度をする。
部屋を出て、バイクでマンションを後にした。
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