働く兄<1>

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「あれ、もうお客さん?」 「違うよ、バイトの面接さ。 ほら、西くん来月で辞めちゃうだろ?」 あぁそうか。と納得して肩に掛けていたバックを降ろした。 「おっと…そうだ、紗夜ちゃん変わり無かったかい?」 「あぁ、全然異常なし! 前より確実に良くなってきてるって言うから、薬も軽めのやつに変わったくらいで。 今度来るのは半年後でいいって言われましたよ!」 「そうかい! そりゃ良かった良かった! それじゃ今度紗夜ちゃんが来たら、お祝いに何かサービスしてあげなきゃな! ハハハッ!」 「いつも心配してもらってすみません、本っ当、ありがとうございまーす!」 気さくに大きく笑うマスターに向かって、カウンター越しに頭を下げた。 「なぁに、いいっていいって! もう長い付き合いなんだから、なっ!」 そう言ってまた笑うと、マスターは目の前のカウンターに座る少年の、ぽかんとした表情に気付いた。
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