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「あぁ、悪ィ悪ィ!
…なに、こいつの妹さんがちょうど2年くらい前に病気してな、手術もしたんだよ。
この兄さんはこう見えて妹さんのためにも稼いでるんだ、エライだろう?」
そう言って、マスターは俺の肩を叩いた。
「ちょっ…マスター俺の話は…。
……ていうか今面接してんだろ?一応ぉ…」
「いいんだよぉ、もう雇うって決めたんだから!」
「早っ…!」
「バイトは初めてみたいだがな、今話してみてしっかりしてそうだし…、何より“絵を見る目”がある!」
「……は?」
その返答に、今度は俺がぽかんとする。
それをよそにマスターはにっこりと「そうだろう?」と少年を見る。
「はい…! 飾ってある絵画、少し見せてもらいましたが、本当に凝った素敵なものばかりで…!
これ全部マスターが集められたんですか?」
「ああ! 昔からコツコツ集めた物ばかりでねぇ、家の倉庫にはまだまだあるんだよ!」
「へぇ、すごいですね! 俺、それも見たいです!」
「ハハハっ、そうかそうか!
今度ゆっくりアートを語り合おうじゃないかっ! ハハハハ!」
「………。」
はぁ…、また始まったか、と思った。
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